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2013年 05月 02日
久しぶりに私の話。
漢方を勉強し始めた頃、いろいろ自分に試していたが、やはり自己流ではなく、専門の先生にみてほしいと思った。尊敬する先生を受診した。冷えや頭痛、肩こりに疲労感・・・とにかく全体的に体質改善したいと言った。診察して一言のもと、「あなたは、温経湯でしょう!」と言われた。 早速、煎じ薬をせっせと飲んだ。どんな変化が起こるのかな?朝起きたら、元気な自分に生まれ変わっていたりして?・・毎日ワクワクした。 しかし3ヶ月たって・・ン?どこも変わらない。なーんだ、漢方ってこんなもの?ちょっとがっかりした私は、夏場で煎じるのがめんどうになったのもあって、飲むのをやめてしまった。 その後秋になって、私はあることを思い出した。アレ、今年は手の皮がむけていない!私は、梅雨時になると、例年手の皮がボロボロにむけていた。皮膚科では、「汗疹」と診断されていて、そのつどステロイド軟膏を塗っているのだが、ほぼ全部の指に絆創膏をはるので、どうにも不潔たらしく見えて、患者さんの前に手を晒すのがとてもいやだった。それが、今年は全くなかった。 そればかりか、私は、毎年梅雨時に髪がごっそり抜けていた。そのため、髪を後ろで一つに縛ると、切れ毛がツンツンと飛び出して、前から見ると、まるでちょっとのびた丸刈り頭。 これらは、漢方では、血虚(けっきょ)という状態。血虚とは、貧血や、一時的な失血などで、赤血球そのものの力が衰えている状態のことである。私の場合、第一子出産時に900mlもの大出血をしたため、それが原因で血虚になっていた。その、髪がごっそり抜ける症状も今年はなかった。 そうか!温経湯だ!効いていたんだ!・・温経湯には、阿膠(あきょう)というニカワ質が入っていて、このコラーゲンが、血虚による乾燥状態を改善したんだ。 この経験は、私に漢方薬の効き方を教えてくれた。漢方薬というと、魔法の薬でもあるかのように、変な期待をもって飲む患者さんは多い。患者さんの期待と不安はよーくわかる。でも、漢方薬は魔法の薬ではない。きちんと理論とその効き方がある。辛い症状をダイレクトに治さなくても、階段を一歩一歩のぼるように、不調の薄皮を一枚一枚剥がすように治っていく。これが体質ごと変えるという漢方の効き方なのだ。 飲んだら30分で熱が下がるというような西洋薬に慣れている現代人にそれをわかってもらうのが、ホントに難しい・・・。 ![]() #
by meguro-kanpo
| 2013-05-02 19:04
2013年 04月 22日
久しぶりにやってきたT子さん、48歳。いつも身振り手振りを交え、全身で不調を訴える患者さんだ。
診察室に入ってきた時から、ヨロヨロしている。「体調が悪いんです!」「はあ、どんな症状がお辛いですか?」「・・・どんなって・・とにかく体調が悪いんです!」「痛い所はありますか?」「・・・痛い所はありませんけど、・・体調が悪いんです!」「いつからですか?」「いつからなのかわかりませんけど、気が付いたら変なんです。」「もうちょっと具体的にお願いします」「・・・花粉症で薬を飲んでいたんですけど、だんだん咳が出て、ひどい下痢もしました。そのあと、高熱がでて、病院で腎盂炎って言われて抗生剤を飲みました。そうこうしていたら、帯状疱疹になってその薬も飲みました。今は治ったのですが、だるくてしんどいんです。熱はないのですが、1日中寒気がして午前中は何とか動けても、午後になると、すぐ横になりたくなります。それなのに夜は何度も目が覚めて眠れないし、たまに眠れても、全然疲れがとれません。その後もあんまり体調が悪いので、更年期かと思って婦人科へ行ったら、ホルモン減っているから、更年期だと言われて、ホルモン剤も始めましたけど、良くなりません。不整脈もあるらしくて、今度精密検査も受けることになりました。一体、私の体はどうにかなっちゃったんでしょうか。」 「大変でしたねー。」と、私は途中から、壁のカレンダーに目をやりながら話を聞いていた。カレンダーには、気温や天気を書いている。今年は、乱高下が尋常じゃない。爆弾低気圧も頻発している。「ひどい下痢と腎盂炎と帯状疱疹になったのはいつですか?・・・あっ、T子さん、気温がガクっと上下した時に、体調を大きく崩してますね。」「ああ、本当だ。ウソみたいにピッタリ合ってますね。じゃ、気候が悪さしているんですね!」 漢方では、気候と体調が密接に関係するとしている。暑さ、寒さ、乾燥、多湿、大風、このどれもが健康を脅かす。漢方を勉強し始めたころ、病気の原因を遺伝子にまで求める現代に、なーにカビ臭いこと言ってんだろと、とても抵抗を覚えたことを思い出す。ところが、これが驚くほど相関する。特に、胃腸の弱い人、低血圧の人、冷え症の人、更年期世代の人などでは、てきめんだ。 T子さんは、よく納得して安心し、体調を整える漢方薬を飲み始めた。 窓の外には、新緑が芽吹き始めている。頼り無さげで、恥ずかしげな淡い若緑を、萌黄色(もえぎいろ)と呼ぶ。一番好きな季節。この季節を心から楽しめるよう、もっと人間も謙虚にならなきゃいけない・・ということかな! ![]() #
by meguro-kanpo
| 2013-04-22 15:04
2013年 04月 05日
患者さんが引けて、受付も終わり間近となった夕暮れ、一人の女性がやってきた。受付け前のイスに座っているのがチラリと見えた。(・・ああ、末期がんの患者さんが、漢方治療を希望していらしたんだな。)とっさにそう思った。それくらい、うつむいたその顔は、どす黒く土気色で全く生気がなかった。
ところが、診察室に入ると、そのFさん、「特に具合の悪いところはありません。足をくじいて薬局に湿布を買いに行ったら、顔色悪いから診てもらえって言われたので。」と言う。 採血をした所、なんとヘモグロビンという数値が2! (正常は11〜13) 信じられないような貧血である。大至急、輸血や鉄の補給をしなければ、命にも関わる値である。ところが、Fさん、若い頃にも貧血と言われたが、胃腸が弱くて、飲み薬も注射も受け付けず、放置していたというのだ。しかも、巨大な子宮筋腫があって、毎月生理で大量に出血するのが貧血の原因だった。それでも、きつい治療は希望せず、手術もせずに閉経を待ちたいというので、漢方薬と注射で、1年ほどかけて数値はやっと正常になった。「Fさん、もう、貧血は治りましたよ。今日で治療は終わりです。では、お大事に。」これで、Fさんがクリニックに来ることは当分ないだろうと思った。 ところが、2週間後、Fさんは、恥ずかしそうな顔でまたやって来た。「アレーッどうしたんですか?」「風邪引いちゃいました。喉が痛くて、熱がでて、お腹がゆるくなって痛みます。」薬をだした。ところが、また2週間くらいすると、風邪を引いて同じ症状でやって来る。その後、2週間ごと風邪を繰り返し、それはなんと1年間も続いた。貧血は治って、もう何も問題がないはずなのに、何でこんなに免疫力が弱るのか??? 漢方では、貧血は、『血虚(けっきょ)』という状態である。血虚は血が足りないだけでなく、赤血球ひとつひとつの働きが弱っている状態である。働きが弱ると、水分代謝もうまくいかなくなる。このことを漢方では『水毒(すいどく)』といい、免疫力低下はこの水毒症状にあたる。鉄の補給で、治るのは、ヘモグロビンの数値だが、それに付随するたくさんの不調は、すぐ治る訳ではない。漢方的には、貧血の本当の治療は、数値が正常化してからといってもいいくらいだ。 Fさん、その後も、漢方治療を続けている。もちろん、お腹を丈夫にして、免疫力をあげる漢方である。「先生、私、テニス始めたんですよ。若い人達に混じってラリーするので、もうヘロヘロです!」Fさんの眩しい顔を見ていると、あんな土気色の顔色だったなんて想像もできないくらい・・・もう笑い話ですね〜。 ![]() #
by meguro-kanpo
| 2013-04-05 16:37
2013年 03月 22日
男性の名前を呼んだのに、入って来たのは40代の女性だった。「あのー、主人のことなんですけど、本人が忙しくて来れないので、私がご相談してもいいでしょうか?・・」「はあー・・、どうされましたか?」「主人の吐き気がひどいんです。設計事務所をやっているんですが、うちで晩ご飯を食べると、必ず12時を過ぎたころから吐き気になって、洗面器を抱えて、トイレで一晩中グエーッグエーッとえづきっぱなしなんです。」「必ずいつもですか・・」「はい、本人は一睡もできなくて辛いと言って、家には帰らなくなりました。事務所のソファーで仮眠しているんです。胃カメラを何度かしましたが、特に異常はありませんでした。異常はないけれど、逆流性食道炎のような状態が起こっているかもしれないと言われて、薬をだされましたが、ちっとも良くなりません。」
逆流性食道炎とは、胃の中の内容物などが食道へ逆流して、食道の下端付近に炎症を起こすもので、加齢や胃酸が多い人が暴飲暴食すると悪化し、通常は強力な制酸剤で治療される。 これはただ事ではないと、やはりご本人に来院していただいた。50代半ばのM氏は、バリッとスーツを着こなしたダンディな紳士だ。「ここ10年くらい、晩飯を食べると、腹の底から、グワーッとこみ上げてくるんです。内臓が全部口から飛び出しそうな吐き気が、波のように次々おそってきて、一晩中トイレから出られないのです。」M氏はさらに苦しそうに続けた。「家で飯を食うと必ずそうなるので、夜は事務所で軽くつまみのようなものを食べるだけです。子供達も難しい時期で、妻には、晩飯を食べながら、いろいろ聞いてほしいと言われるんですが、こっちのほうがそれどころではなくて。」 お腹の触診をする。あばら骨の下が固く張っている。漢方では、とても有名な『胸脇苦満(きょうきょうくまん)』という所見だ。M氏がとても強いストレス状態であることが伺われる。 以前、漢方では、『気』というある種の生命エネルギーのようなものが、滞りなく体をながれているのが健康と考えていると書いた。M氏の場合は、この気が逆上している『気逆(きぎゃく)』という状態である。M氏は吐き気があっても、物を吐くのではない。えづくだけである。吐きたいのは、物ではないのだ! 漢方では、こんな状態にも、とてもやさしい薬で対応する。M氏は次第にからえづきの程度が軽くなり、半年ほどして初めて、久しぶりに家で家族と夕食がとれたとうれしそうに報告してくれた。 北風と太陽という童話があるが、西洋薬が体の悪いところをガツンと叩く北風なら、漢方は暖かく体も心も包み込んでくれる太陽のような治療法である。だから、重たいコートを脱いで楽になれるのである。 ![]() #
by meguro-kanpo
| 2013-03-22 18:29
2013年 03月 08日
久しぶりの患者さん。目に入ったカルテの初診年齢は『1歳』。「Kちゃーん!」といつもちびっこを呼ぶ呼び方で呼んだ。入って来てビックリ。私よりはるかに大きな女性だ。(そうか、大きくなったんだ。)現在18歳。顔中ニキビが花盛りだ。それどころか、首も胸も背中も・・こうなると、青春のシンボルなんて流暢なことは言っていられない。「今までたまに生理前にニキビができることはあったんですけど、今年の冬らへんから(注:冬ころから)急にあちこち赤いニキビができちゃって。軟膏つけたり、抗生剤ものんでるし、ニキビを絞るのもやりました。一時的にはよくなっても、結局また出てくるのでどうしていいか。」本人はかなり深刻な様子。「何か他に体調の悪いとこないの?」「えーっ、特に変わったことはありません。生理ですか?うーん、2〜3ヶ月に一回はちゃんときます。あっ、友達も3ヶ月に一回って言ってたから、別に変じゃないですよね。冬らへんにはすっごい生理痛で寝込んだこともあったけど、最近は大丈夫ですしー。」(そういえば、Kちゃん、小さい頃から、手足がしっとりと冷たい子供だったな・・)私は、小さい頃の目がクリクリした顔を思い出した。
手足がしっとりと冷たいと、根深い冷えが続いて、その結果生理や肌の不調を引き起こしていく。一方、春は草木も虫もみんな動き始め、成長を始める季節だ。漢方では、こんな春のことを『発陳(はっちん)』と呼ぶ。しかし、動き始めるのは、いいものだけではない。いやなものも動き始める。だから、春にはニキビも動き始めるし、冬にたっぷり冷えた体ほど、ニキビの花は満開になる。「Kちゃん、そんなに間があいたり、寝込むほど痛い生理は異常だよ。自覚ないけど、すっごく冷えてるんだよ。それで、生理が不順になったり、生理痛もきつくなって、ニキビまでひどくなってるの。まず、きちんと生理がくるようにならないと、ニキビは良くならないよ!」Kちゃんは、半信半疑の顔だったが、夏に友達と海に行くので、絶対にニキビを治したいと、漢方薬を飲み始めた。1ヶ月後、「言われたようにやったけど、ニキビ変わんないです。」不満やるかたない顔で、Kちゃんはやって来た。「ところで、生理はどう?」「こないですけど・・」「Kちゃん、体ごと変えているのだからそんなすぐは良くならないの。生理は体に冷えがあるかどうかの成績表だよ。きちんと及第点とれば、きれいなお肌は、おまけで付いてくるから。」ますます不満そうな顔をしていたが、とりあえずもう少し続けてくれた。 しばらくしてみちがえるほどきれいな肌になったKちゃんが、嬉しそうにやって来た。「先生の言ってたこと、うそじゃなかったです。この前一ヶ月ちょっとで生理がきて、ぜんぜん痛くなかったです。ニキビもできないし、肌がきれいになったって、友達に言われました。」 体は内側も外側もつながっている。これからも気を抜かないで毎月及第点取ってね。そうすれば、きれいなお肌の他にも、たくさんおまけが付いてくるから! ![]() #
by meguro-kanpo
| 2013-03-08 18:35
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