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2014年 08月 09日
「先生、私、自分が寒いのか暑いのか、もうわからなくて・・・」
私はカルテを書きながら、チラッとJさんを見上げた。確かに真夏とはいえ、46才という年齢で、キャミソール型のブラウス1枚は薄着だ。 「冬でもこの服です。さすがに真冬は、体裁が悪いので人前では綿ブラウスを羽織るようにしてますけど。」特に赤ら顔でもなく、太ってもいない。「でも、寒くて寒くてしょうがないんです。パンツの下には、真夏でも足首までのレギンスをはいています。膝の上には今もカイロを貼付け、毛糸のレッグウオーマーをして、靴下は3枚はいています。」そう言ってパンツの裾をたくし上げて見せた。靴下を3枚もはいているので、靴ははけないらしく、毛糸の靴下にサンダル履きといういでたちだ。 「私、生理は毎月きてますけど、やっぱり更年期なんでしょうか?」『突然カーッとほてるんですか?』「いいえ。いつでも上半身は暑がりなんです。走ったりすると、もっと暑くなって汗がダクダクですけど。」『更年期のホットフラッシュとはちょっと違うと思いますケド。』「先生、私冷やしたらいいのか暖めたらいいのか、どうしたらいいんでしょうか?」 冷え症の人は、悪化していくと下半身は冷えているのに、上半身はのぼせる“冷えのぼせ”と言う状態になる。こうなると、暖めると汗をかいて、逆に冷えるという悪循環に陥って、暖めたいのに暖められない状況になってしまうのだ。その上、自律神経そのものがバランスを崩しているため、さまざまな自律神経症状を伴うことが多い。Jさんも、話をしながら、しきりに胸のあたりを押さえてため息のような深呼吸をしている。『胸苦しいんですか?』「先生、私、どうも息が入っていかなくて。時々こうして深呼吸しないとだめなんですよね・・。」(うーん。やっぱりそうか・・。) 足を触ると、かなりのむくみがある。しかも、毛糸の靴下の上からでも、足がビショビショに濡れているのがわかる。(うーん。この辺が原因か・・。)『靴下、無理してはいてません?』「エッ?わかります?実はそうなんです。でも、冷えているから暖めたほうがいいと思って。」 冷えのぼせになると、冷え症とのぼせ性の、全く正反対の二重人格が混在していることになる。ただやみくもに暖めるのは逆効果で、のぼせているところは、上手に冷やして熱をのがし、冷えているところは、じっくりと暖めなければいけない。マメな対応が必要なのだ。不思議なことに、この正反対の治療を同時にできるのが、漢方薬の妙味とも言える。漢方薬には、何種類もの生薬が入っていて、下半身は暖め、上半身は冷やし、というのが同時にできるのだ。 しかし、その後Jさんは、ご主人の病気の看護で通えなくなった。 半年が過ぎた真冬のある日、都心でも小雪がまう寒い日、Jさんは久しぶりにやって来た。しかし、その格好に私は目が点になった。素足にサンダル、キャミソールのブラウス一枚。もちろん、下半身は鎧兜のように何枚もズボンを重ねて履いていた。 「先生、やっぱり真面目に薬飲みたいです。もう、カイロばかり張ってる毎日に疲れました。」 (やっと治療に専念できるようになったんだ!ここからリセットしないとね。) ![]()
by meguro-kanpo
| 2014-08-09 16:53
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