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2014年 01月 30日
初めてUさんが入って来た時から、診察室は劇場と化した。中学の時から片頭痛もちだったが、ここ5~6年悪化していると問診票にはあるが、口をついて出る言葉はそんなものではない。
「頭から首から背中にかけて、鉄板が入っているように痛みます。そうなると、眼球がつぶれそうなくらい、目の奥がガンガン痛みます。」体中を大きく使ってどこがどう痛いか表現する。 「痛くて痛くて体を少しでも動かせば痛むので、ゆっくりしか動けません。寝ている時も痛いので、眠れません。生理中には、さらに痛みが増します。」私に言葉を挟ませないままさらに続く。 「それと、鼻水がひどくて、ふわふわめまいみたいになって、頭がぼーっとのぼせて顔が真っ赤になります。胃は弱くて、夕食がとれないこともあります。お腹から太ももまで悪いものが溜まっているみたいです。便秘と下痢をくりかえします。だるくて仕事から帰って玄関で寝てしまうこともあります。」 そこはもはや独壇場。Uさんは不調という大きな花束を持って、一人芝居をしている女優のようだ。それを1m鼻先で見ている私は、思わず胸が苦しくなる。 「精密検査しても異常ありません。これは今まで飲んで効かなかった薬です。」そう言って一覧表を見せた。40代のUさんは、片頭痛薬や鎮痛剤、最新の慢性疼痛薬などの現代薬の他、漢方薬も20種類以上と、もはやありとあらゆる治療はしていた。薬を見ただけで、今までの医師が治療に苦慮し、試行錯誤していたことが伺える。「今は市販の鎮痛剤を月に70錠以上飲みます。」『うーん。で、一番お辛い症状はどれですか?』あまりの症状の多さに、すっかり混乱した私は、思わず聞き直して墓穴を掘ってしまった。Uさんは、「頭から首から背中にかけて・・」という先ほどのくだりをもう一度繰り返し、最後までいったかと思うと、感情が高ぶったのか、また頭から繰り返しはじめた。(マズイ!このままではリピートが止まらない・・)とあわてて私は途中で遮った。『お腹を診察させて下さい。』(うーん。不調の根っこは何だろ?)お腹を触りながら考えるが、どうも見えない。薬も飲んだことのないのを探すほうが難しいくらいだが、まずは直球で、片頭痛の漢方薬を何種類か出すことにした。 その後、頭痛は、軽くなり、鎮痛剤は月50錠くらいに減ったが、寒くなってから、頭痛以外の症状が増えてきた。「全身が不調です。体中が重くて痛くて、痛みで夜中に目が覚めます。起きる時、足が曲がりません。毎朝毎晩吐いています。etc.etc.・・」Uさんのように、不調が複雑に絡み合うと、さまざまな脈絡のない不調になる。整形なのか、胃腸なのか、神経なのか、ホルモンなのか、どこの臓器かすら全くわからない。でも、その根っこが何なのか、そこを治療しないとモグラたたきに終止してしまう。 ・・ところが・・意外にもあっけなく、この不調の糸はほどけていった。それは、何の事はない、ごく普通の体を温める痛み止めの漢方薬を飲んでからだ。こんなに体中が痛いのに、強い現代薬の鎮痛剤を処方されていたせいか、漢方の痛み止めは今まで出されていなかった。それが、漢方を飲んで1ヶ月もすると、70錠も飲んでいた鎮痛剤はほぼ要らなくなり、良く眠れるようになった。すると、他の症状もトントンと良くなったのだ。(ナンダそうか。根っこはコレだったんだ。) 痛みが取れたことが自信になったのか、Uさん、最近は、あっさり診察を受けて、さっさと出て行く。本来のUさん、クールな人だったんだ。ウン。これならカーテンコールはなさそうだ。 ![]()
by meguro-kanpo
| 2014-01-30 19:26
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