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2014年 01月 09日
急に冷え込んだ12月のある朝、60代のE子さんは、胸をさすりながら入って来た。
「胸が痛くて。」・・一瞬緊張が走る。中高年になると、胸の痛む病気が沢山ある。中には、早く対処しないと命に関わるものもあるからだ。 「いえねー。毎年冬になって体が冷えると、胸が痛くなるんです。」(フーッ、緊急の事態ではなさそうだ。 冬に痛むとは肋間神経痛かな?) 『どの辺ですか?』「胸の真ん中あたりから、ずーっとみぞおちまでですけどね。」(みぞおち?もはや肋間を越えている。) 『どんな時ですか?』「朝起きるとまず痰が沢山でるんです。ひとしきり痰を吐き出すと、今度は胸が痛くなってきて、それから胃が痛くなって、その後下痢するんです。寝るまで続きます。」(・・うーん、ずいぶん広範囲だな。呼吸器と、胸の神経と、胃と腸が一気に連なって不調になるとは。単純な肋間神経痛ではなさそうだな。)「いろいろ調べましたけど、異常ないんです。ピロリ菌の除菌もしましたけど、やっぱり痛みは同じなんです。」 お腹の診察をする。冬だというのにお腹全体に汗をだらだらかいていて、触るとヒンヤリ冷たい。 『お腹冷たいですね〜。これじゃ冬はしんどいですね。E子さんは、夏が得意の夏女なんですね。』 「い〜え!!トンでもない。夏はもっと辛いんです!」E子さんは声のトーンを一段と高めて言った。「今はそれほどでもなくなりましたけど、3年くらい前までは、夏の汗がもうひどくて。足を汗がダラダラ流れるので、汗が付くのがいやで、ソファに座れなかったし、汗が手の指を伝って指先からポタポタ垂れてこまりました。」(・・やはりそうか。このお腹の汗はその名残りなんだな。) 漢方は、現代医学とは、全く違う健康観で体を診る。現代医学では、呼吸器と、胸の神経と、胃と腸はそれぞれ違うもので、不調はそれぞれ別ものと考える。 しかし、漢方では、痰も、胸の神経痛も、胃の痛みも、下痢、そして大汗も、皆同じ根っこから発生した不調の仲間たちだ。漢方ではこれらは “水毒(すいどく)”と言われる症状で、冷えと密接に関係している。だから冬になると悪化していたのだ。 つまり、多彩な水毒症状でガチガチになっているE子さんの治療のキーワードは、“体を温め水はけを良くする”ということになる。 まずは、肋間神経痛を治療の入り口にする。というのも、漢方の痛み止めには、どれも体の水はけを良くする働きがあるからだ。 漢方の痛み止めは、冷やして痛みを取るもの、温めて痛みを取るもの、さらに水はけを良くして痛みをとるものなどさまざまある。 冬の寒さで痛みの増すE子さんには、温めて痛みを取る漢方薬と、胃腸を良くする漢方薬を併用した。 2週間後、「すっごーく良くなりました!胸は全然痛くありません。胃腸も快調です。」初診の時とは別人のようにニコニコしている。こんなに治ると、さすがに私も気分がいい。 でも、せっかく素直に喜んでいるE子さんに、私は水をさすような言葉をかけた。『E子さん、痛みが取れたのは、あくまで薬の働きによるもので、体自体がよくなったのではありませんよ。ここでやめたら、毎年同じことを繰り返します。痛みが起きないようにじっくり体質を変えましょうね。』それが、漢方治療の本当の目的であるのに、症状が良くなるとすぐやめてしまう人が多いのだ。・・それにしても、E子さんのうれしそうな顔見てると、こっちまで元気もらえそう! ![]()
by meguro-kanpo
| 2014-01-09 19:57
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