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2013年 10月 05日
50代後半のその男性は、目をきょどきょどさせて診察室に入ってきた。
「全身が痛いんです!」吐き捨てるように言う。医師への不信感で一杯なのが見て取れた。「全身のどこが痛いんですか?」「首も肩も腕も。背中も腰も足も・・全身です。」「整形外科でちゃんと調べてますよね?」「ええ、もちろんです。脳外科も行って、頭の中も、全身MRIもとりましたけど、異常ありません。結局安定剤をだされました。」「Eさん、もう少し具体的に、どこがどういう時に、どういうふうに痛むんですか?」「だから全身。いつもです。」「寝てる時もですか?」「だからいつもです。」 (うーん、取り付くシマもないな〜) とにかくベットに寝てもらい診察をする。(アレ?随分厚地のYシャツを着てる・・)季節は、初夏、半袖が心地よい。ところがEさんは、冬用のネルの長袖Yシャツだ。脈を診るので手をとると、氷のように冷たく、ビショビショに濡れている。「一番痛いのは、手首から手の甲にかけてです。Yシャツの袖口が手の甲に触ると、ビリビリ激痛が走って、午後になると仕事をしていられません。」「じゃ、どうして、半袖着ないんですか?」「寒くて寒くて、長袖でないといられないんです。」 (うーん、そこか〜糸口は!) 痛みの原因は多岐にわたる。なかなか特定が難しいものも多い。 くわしく診察していくと、Eさんは、確かに痛みの原因となる要素をたくさん持っていた。 体型は大柄だが、側弯があった。側弯とは、通常前後方向にS字に曲がっている背骨が左右方向にも曲がっているのだ。顎関節もガタガタだった。こうなると、頸椎にも負担がかかることは容易に想定される。こういうタイプは、直立するだけで、体はバランスを無理やりとることになるので、あちこちに不調が現れやすい。 体の中を、神経は複雑にめぐっている。特に、痛覚と温冷覚は、いっしょに脊髄の中を走行して、脳に刺激を伝える。そのため、誤作動を起こすこともあるのだ。それに、極端に冷たすぎたり、熱すぎたりする感覚は、痛みとして認識される。 Eさんは、もともとの体型的素質に、極端な冷えが引き金となって、体中の痛みを起こしているのかもしれない。 Eさんは、3年前に早期退職をして、今の職場へ移った。ミスの許されない細かい経理のチェックを一日中しているという。崖っぷちでやっとバランスを保っている体は、些細なことでバランスを崩すと、不調のドミノ倒しとなってしまう。一番目のドミノは、こんな日々の中で倒されたのかもしれない。 漢方では、こんがらがった不調の糸を、鎮痛ばかりでなく、血行や気のうっ滞を良くしたり、丁寧にほぐすように治療していく。 その後、漢方を飲み始めたEさんだが、なかなか症状は動かず、いつもガンと「全身が痛い!」の一点張りだった。しかし、さすがに5ヶ月ほどすると、「手首と手の甲だけ痛くて、他の場所は痛まなくなりました。」と初めて認めるようになった。やっと不調が整理され始めたのだ。 ドミノは、倒れる時は一気でも、改めて立てるのは、地味で気の遠くなる作業だ。でも大丈夫。漢方には、気が長〜くなる薬も入っているから。サスガだね! ![]()
by meguro-kanpo
| 2013-10-05 14:17
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