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2013年 06月 15日
日が落ちたとはいえ、熱気でムッとする7月の夕方、初めて訪れたEさんのいでたちは異様だった。
くるぶしまでの黒いロングスカート、ウールの黒いロングコート、黒いマフラーまで巻いている。「私、ものすごい冷え症で、辛くて!」と言う。 ベットに寝てもらい、診察する。スカートの下は真冬に履く厚地のタイツ。足は、パンパンにむくんでいて、スネの表面を触っただけで汗がじんわりにじみ出てくる。上着をはだけてお腹を診る。プールから上がったみたいに汗ビショビショで、ベットに流れ落ちてくる。 なのに「寒くて寒くてこれでも寒いくらいです。」と言う。 (もう少し薄着にしたほうがいいのに。いくら寒いといっても、こんなに汗だくになるまで着込んじゃ、逆に汗で寒くなっちゃうんじゃないかな。) 確かに冷え症の人は、少し汗ばむくらいに服を着ているほうが心地よいということは多い。しかし、Eさんのは、ちょっと度を超している。 39歳のEさんは、この間いろいろ検査しているが、もちろん糖尿病も甲状腺も何の異常もないという。このような状態は、西洋医学では説明がつかない。でも、漢方では、何千年も前から、このような状態を説明している。 何を隠そう、あの有名な楊貴妃も、実は小太りで、大汗かきだったという。好物は体を冷やす南国産のライチ。これだけを聞くと、一見暑がりの楊貴妃だが、大の温泉好きで、玄宗皇帝とよく清華温泉通いをしていたという。 こんな寒がりなのか暑がりなのかよくわからない楊貴妃だが、これは、りっぱな冷え症だ。えっどこが冷え症?と思うかもしれないが、冷えているのは、体の芯。長年体の芯に強い冷えがあると、一見冷えとは関係ないような、べとべとした、気持ち悪い汗が全身止まらなくなるのだ。高温多湿とストレスがさらに症状に拍車をかける。 彼女は漢方薬の生まれた四川省の出身。おそらくこんな複雑な冷え症に対する治療を、いろいろ研究させていたのかもしれない。 さて、楊貴妃もEさんも、このような状態までになると、もはや一筋縄では体は温まらない。むしろ、へたに温めると、汗がさらに増えて収拾がつかなくなる。温められない冷え症なんて、本当に厄介な話だが、急がば回れで、何よりもまず、汗を抑える治療が最優先。これがまた年余にわたる大変な作業となる。 Eさんは、漢方薬をせっせと飲んだ。汗は徐々に減って2年もすると、マフラーやロングコートを着ることはなくなり、足のむくみも随分減った。でも、なかなかトレードマークの黒いロングスカートは手放せない。これからが、体の芯を温める、第二段階の治療となる。 人工的に温度管理された現代では、温度差が激しくなって、私たちを取り巻く環境は、楊貴妃の時代より、ある意味過酷になっている。 本家楊貴妃は、若くして、この世を去り、治療半ばだったかもしれない。現代版黒衣の楊貴妃のリベンジは今日も続く。 ![]()
by meguro-kanpo
| 2013-06-15 16:01
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