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2013年 06月 03日
15歳のI君は、ひょろりとした青白い顔で、目だけがキョロキョロしていた。自分より背の小さなお母さんに連れられて、夕方の陽の落ちたクリニックへやってきた。
本人は無口で、お母さんだけが、切羽詰まったように話し始めた。「小学校の頃から朝起きるのが苦手で、しょっちゅう遅刻していたんです。学校行事も遅刻するので、先生や同級生たちに仲間はずれみたいになって、いじめられて。そのうち、学校へ行こうとすると、急におなかが痛くなったり、下痢してトイレから出れなくなったり、頭が痛くなったり。地元の中学へ行ったのですが、ほとんど学校へは行けてないんです。やっと通信制高校に入ったのですが、昼夜逆転で。何とか漢方で、体質変えられないでしょうか。」 ・ ・・(そうか・・しんどかったねー。) お腹の診察をした。漢方では、お腹の所見がとても重要だ。お腹には、体質や気質、生活習慣などがよく現れる。I君のお腹は、まさに体力のない、胃腸虚弱で、血圧も低くて、そんな中で、周りとの軋轢に耐えているためか、緊張状態が取れない、本当に切なくなるようなお腹をしていた。 これでは、朝起きろと言っても無理。起立性調節障害という低血圧状態で、起き上がるのさえ拷問のように辛いはず。もっと小さい時から体質を変えていたら、こんな辛い経験しなくても良かったかも・・・という思いがよぎった。 「しっかり漢方薬を飲もう!それから、少しずつ体質を変えていこうね。」 「はー・・」 I君は中空を見つめたまま、気のない返事をした。 でも、二回目からは、一人で1時間半かけて通院した。昼夜逆転しているので、いつも閉院ぎりぎりではあったけれど。といっても、なかなか生まれつきの体質を変えるのは、簡単ではない。少し良くなっても、試験や、学年が変わって友達関係が変わるたびに、一進一退を繰り返した。 起立性調節障害には、生活習慣の注意がとても重要だ。来院のたびに繰り返し、口を酸っぱくして言った。始めは、聞く耳持たなかった彼も、少しずつ努力してくれた。高校になって、音楽を始めた彼は、「ナイトメア好きっす。」という今時青年になり、茶髪をツンツン立てて、ドクロのTシャツを着てきたりするのだが、お腹の診察で、Tシャツをめくると、下にしっかり腹巻きをつけてくれていた。 そんな努力のかいあって、次第に胃腸は丈夫になり、しっかり眠れて、日常生活が普通に送れるようになった。I君は、無事大学に合格した。 「先生、それが、まだ困っていることがあるんです。」「どうしたの?」「実は、好きな子ができて。年上なんですけどね。どうやってコクろうか、マジ悩んでるんです。」「ハッ?」 (そうかそうか。今までの分も青春を思い切り楽しまなきゃね。ガンバレ!ガンバレ!) ![]()
by meguro-kanpo
| 2013-06-03 18:34
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