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2013年 02月 08日
根深い医療不信を抱えながらクリニックにやってくる患者さんは結構多い。Oさんもそんな一人だった。
開院して間もないころ、そう、Oさんは、当時まだ30代になったばかりだった。診察室のイスに座るなり開口一番、「私、薬キライなんで、あまり飲みたくありません!」と言う。そして、今までに飲んだ薬の一覧がビッシリ書かれた便せんを差し出した。西洋薬や漢方薬、いったい何種類あるんだろうか。『A薬・・気持ち悪くなって3日で中止。B薬・・めまいがひどくなって1週間で中止。C薬・・ピンとこなくて1ヶ月で中止。D薬・・E薬・・』「うーん。・・で、お辛い症状は何ですか?」「寝ても寝ても疲れが取れないんです。一日中寝たり起きたりです。大学病院で検査しても異常ないといわれました。肩もパンパンで、朝は家事をするのに手が思うように動きません。胃も弱くて、いつもみぞおちが気持ち悪いです。ふらつきもあります。便秘も辛くて、だまっていると1週間でないこともザラです。夕方には、お腹がパンパンになって吐きそうです。足は冷えがひどくて、お風呂に入ってもすぐ冷たくなってビリビリ痛くて感覚がなくなります。それから・・・」Oさんは、私と目を合わせることなく、私の肩のあたりをジッと見ながら一気に話した。(・・こんなに辛い症状があるのに、薬を飲みたくないなんて・・うーん・・どうしろというのかな・・) 私はふと思い出した。それは、『気剤の法則』だ。『気』というのは、現代医学にはないものだが、私たちがいまでも元気・やる気などと使っている、ある種の生命エネルギーのような概念である。漢方では、この『気』が滞ることなく体の中を流れている状態を健康と考えている。そのための薬を『気剤』という。さまざまな症状が混沌としていたり、薬に不信感があるような場合、まず気剤から始めるのがよい、という。私は、最もマイルドな気剤を処方した。しかも、「1日ひとつまみ、食事直後に飲んで下さい。」と言った。常用量の20分の1くらいである。これなら、不都合な症状はでないだろうと。 2ヶ月ほどして、Oさんはフラッとやって来た。「何だかいいみたいなので、もう少し続けてみようと思います。」以来、時々やってきては、1包か2包薬を持っていった。そんなことが3年くらい続いたころ、Oさんは初めて、「めまいがひどいので、そっちの薬もほしいです。」と言った。私は、待ってましたと、めまいの薬を処方した。その後、Oさんは、ご主人の転勤で、北陸と九州に合わせて8年行っていたが、この間も時々やってきては、薬を続けていて、最近東京に戻って来た。今、Oさんは更年期世代となり、そのための薬を普通に常用量で飲んでいる。 漢方薬ともいい距離感ていうのがあるのかな・・Oさんを見ていて思う今日この頃である。 ![]()
by meguro-kanpo
| 2013-02-08 18:54
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